脊髄性筋萎縮症 (SMA)
Mayo が持つ疾患,脊髄性筋萎縮症 (SMA) について紹介します.
脊髄性筋萎縮症 (SMA) とは,下位運動ニューロンと言う筋肉等の効果器に命令を伝える神経が消失・脱落してしまい,徐々に筋力が低下,筋が萎縮してしまう神経筋疾患.
簡単に言うと,脳から出る手を動かす指令や足を動かす指令の様な筋肉へ送られる指令が伝わりにくかったり,伝わらなくなってしまったりして,筋が萎縮してしまう疾患です.
日本では乳児期から小児期に発症する脊髄性筋萎縮症 (SMA) を患って居る人は,100,000 人に 1 – 2 人の割合と言われて居ます.
原因
脊髄性筋萎縮症 (SMA) の原因は下位運動ニューロンの正常な機能を維持する SMN タンパク質を生産させる SMN 1 遺伝子の変化によって起こります.
SMN 1 遺伝子に変化が生じると SMN タンパク質の生産が減少し,下位運動ニューロンが消失・脱落して,筋が萎縮します.
脊髄性筋萎縮症 (SMA) は常染色体劣性遺伝性疾患のため,両親が共に持つ変化した SMN 1 遺伝子を 2 つ共受け継いだ人にのみ発症する疾患です.
重症度と症状
脊髄性筋萎縮症 (SMA) の症状は型によって違い,個人差大きいです.
ですが,重症度や発症年齢によって型が決まり,全ての型で筋力低下や筋萎縮の症状があります.
脊髄性筋萎縮症 (SMA) の場合,思考や経験,感覚,知識,理解等の認知に関わる神経細胞には影響しません.
I 型 (ウェルドニッヒ・ホフマン病)
脊髄性筋萎縮症 (SMA) の I 型 (ウェルドニッヒ・ホフマン病) は出生直後から 6 ヶ月頃までに発症.
支えなしの座位ができない・首が座りにくい・咳嗽力が弱い・泣き声が弱い・摂食に必要な筋力の低下・筋力の低下・膝を外側に倒すカエルの足の様な姿勢を取る・呼吸に必要な筋力の低下・舌がピクピクと震える動きをする舌の線維束性収縮等と言った症状が現れます.
呼吸をするために必要な呼吸筋の中で,肋間筋よりも横隔膜の筋肉が維持されて居るため,吸気時に腹部が膨らみ胸部が陥没すると言う奇異呼吸も見られます.
また人工呼吸管理を行わないと呼吸ができなくなり,亡くなってしまいます.
II 型 (デュボビッツ病)
脊髄性筋萎縮症 (SMA) の II 型 (デュボビッツ病) は 7 – 18 ヶ月に発症.
支えなしの座位はできるが支えなしの立位ができない・筋力の低下・まれに嚥下や咳嗽,呼吸に障害・筋肉痛や拘縮,脊柱側湾症・手指の振戦・舌がピクピクと震える動きをする舌の線維束性収縮等と言った症状が現れます.
重症な場合,呼吸器感染から呼吸不全を起こす事も.
III 型 (クーゲルベルグ・ウェランダー病)
脊髄性筋萎縮症 (SMA) の III 型 (クーゲルベルグ・ウェランダー病) は 18 ヶ月 – 19 歳に発症.
支えなしの立位や歩行はできるが,歩行が困難になる場合もある・脊柱側湾症・嚥下が困難になる・筋力の低下・筋肉痛・関節が硬く動きにくくなる・一部の関節を使い過ぎる等と言った症状が現れます.
脊髄性筋萎縮症 (SMA) の III 型 (クーゲルベルグ・ウェランダー病) の場合,腕よりも脚の方が筋肉の低下が見られます.
IV 型
脊髄性筋萎縮症 (SMA) の IV 型は 20 歳以降に発症.
運動発達は正常範囲ですが,筋力の低下や震え・筋肉の引きつりや痛み等と言った症状が現れます.
治療法
脊髄性筋萎縮症 (SMA) の根本的な治療法はスピンラザと言う脊髄性筋萎縮症 (SMA) 治療薬を腰椎穿刺・ルンバールで投与する事です.
臨床試験ではスピンラザを投与すると,しなかった人に比べ運動機能が改善されたと認められて居ます.
脊髄性筋萎縮症 (SMA) の人は SMN 1 遺伝子のバックアップ遺伝子である SMN 2 遺伝子を少なくとも 1 つは持って居ますが,その SMN 2 遺伝子が生産する SMN タンパク質は 10% 程度しか完全な機能を持ちません.
スピンラザは SMN 2 遺伝子が生産する SMN タンパク質を増やす薬剤です.
またスピンラザと同様の効果を得られる経口薬,リスジプラム・エブリスディを内服投与する治療法もあります.
リスジプラム・エブリスディは水溶薬で,1 日 1 回必ず飲み続ける必要がありますが,腰椎穿刺・ルンバールよりも簡単に在宅で投与する事が可能です.
その他は対処療法となり,呼吸筋の筋力が低下してしまったら人工呼吸管理を,咀嚼や嚥下機能が低下してしまったり栄養や水分を十分に摂取できなくなってしまったりしたら経管注入を…等と言った状況に合わせた治療を行います.
また脊柱側湾症を防ぐために装具で姿勢を保ったり,理学療法・PT や作業療法・OT でリハビリテーションを受けたりします.
Case Mayo
Mayo は脊髄性筋萎縮症 (SMA) の I 型 (ウェルドニッヒ・ホフマン病) ですが,症状等は II 型の要素も少しあります.
昔,医師からは 1.2 型と言われたとの事.
何とも中途半端!
そして幼少期に呼吸がうまくできなくなり,二酸化炭素が吐けなくなってしまったため,気管切開・トラキオをして人工呼吸器を装着しました.
分泌物をうまく出せないため,必要時に喀痰吸引をしてもらって居ます.
また経口摂取も十分にできなくなってしまったため,以前はマーゲンチューブで経鼻経管注入等をして居ました.
現在は胃瘻・PEG を造設し,経管注入等をしてもらって居ます.
人工呼吸器のおかげで呼吸等が安定し,経口摂取ができる様になったため,経口摂取も続けられて居ます.
以前は支えてもらいながら座位が少し取れましたが,現在は首も座らずグラグラなので取れなくなりました.
脊柱側湾症・拘縮・尖足もあり,オーダーメイドのリクライニング・ティルト型車椅子を使用して過ごして居ます.
リハビリテーションは訪問で受けて居ましたが,大人の事情で現在は受けて居ません.
今後訪問リハビリテーションを探して,また受けられればと考えて居ます.
スピンラザによる治療は 2018 年に行いましたが,脊柱側湾症の影響で 2 回目以降から髄液が引けなくなってしまい,中止になりました.
他の病院でやって見るのも提案されたのですが,いつもの病院で治療をして行きたかったので中止にしてもらった感じです.←完全に Mayo のわがままです(汗).
リスジプラム・エブリスディによる治療は 2021 年からスタートしました.
胃瘻・PEG から毎日投与してもらって居て,一応大きな副反応もなく現在も続けて居ます.
効果はあまり良くわからなくてあまり変化はないですが,筋萎縮の進行が止まると良いなと思います.
この様な感じで Mayo は脊髄性筋萎縮症 (SMA) の I 型 (ウェルドニッヒ・ホフマン病) と付き合って居ます.
Summary
Mayo が持つ疾患,脊髄性筋萎縮症 (SMA) について紹介しました.
正直今回 Mayo 自身の疾患についてはじめて調べました.
この症状は脊髄性筋萎縮症 (SMA) の症状だったのかとか発見が沢山で楽しかったです.←深く考えてない(笑).
症状等を細かく書いて長文になってしまいましたが,読んでもらえると嬉しいです.
Mayo
参考資料
- TOGETHER IN SMA 脊髄性筋萎縮症 (SMA) とともに
- スピンラザ髄注 12mg
- 難病情報センター 脊髄性筋萎縮症 (指定難病 3)
- NCNP 病院 国立精神・神経医療研究センター 脊髄性筋萎縮症
Mayo と申します.
1995/12/19 生まれの A 型です.
脊髄性筋萎縮症 (SMA) の I 型 (ウェルドニッヒ・ホフマン病) と言う疾患を持って居ます.
山田涼介くんがだいすきです.
Mayo EFIFS で好きな事を好きな時に UP して居ます.
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